京都検定講習会レポート

京を旅する

京いろいろ


「古都京都の文化財」 ユネスコ登録 15周年記念特別講座

世界遺産に知る京都の魅力・活力・文化力 第3回
-ビジュアルで再発見。京都の世界遺産-


  日時:2009年7月11日
  会場:京都商工会議所 講堂
  講師:堤 勇二先生 京都学院大学 非常勤講師
 


 庭園の種類、仏像の約束、絵画のポイント、建築の名称。全てに決まりがあります。
 見る楽しさ倍増!文化財の基礎知識を学びます。今回は庭園


第3回 建築・庭園・寺宝 文化財の三大魅力


 テーマは建築・庭園・寺宝となってるが、堤先生の都合により、今回は庭園


 京都御所の「萩坪」

 庭園の講義の最初に、京都御所にある小さなお庭のお話をされた
 
 「萩坪」。清涼殿の裏側にあって、狭い空間に萩だけが無造作に植えられている。
 ただ白砂と萩。水も苔もない。
 
 日本の美術 別冊 「庭」(S42年)の中で、建築家早川正夫は
 この「萩坪」を日本人の庭の原点と紹介している。

 萩は万葉集の中で一番多く詠まれている花
 春に芽を出し、秋に花を咲かせ、冬は根元から刈り取られて、再び来る春を待つ
 無技巧の技巧

 御所の庭の植物は、「御所すかし」と呼ばれる独特の刈り込みが行われている
 「密なるようでまばら、まばらなるようで密」

 ※ 京都御所 秋の特別公開では、例年の一般公開コースに加え、
    通常非公開の皇后宮常御殿、飛香舎、若宮・姫宮御殿及び朔平門が特別に公開されます
    詳しくは、宮内庁のページ http://www.kunaicho.go.jp/ →「京都御所一般公開へ」


1.庭園の種類

 水を使う、使わない(使わずに水を表現する)で分ける
 
 ■池泉式 水を使う
         池泉回遊式:天龍寺、西芳寺、金閣寺、銀閣寺

   ○天龍寺 庭園は国の特別史跡名称指定第1号

         <特徴>水を使った池泉式、回遊式、自然の山を景色に取り入れる借景

          昔は回遊できたが、今はできない
          曹源池(そうげんち)は、禅宗のことば「曹源の一滴水」から名前がついた
          龍門瀑(りゅうもんばく):滝組を上がった鯉が、龍になる故事「登龍門」を表現
          鯉魚石(りぎょせき)は、まさに龍に変わろうとしている瞬間を捉えた石で、
          天龍寺の鯉魚石は、頭は龍、体は鯉の形をしている
          
    天龍寺を訪れたら、一足伸ばして庭園めぐり
    →塔頭 宝厳院

    →大河内山荘 
      春は桜の海越しに、嵯峨野、更に東山36連峰が見渡せ絶景
      中心となる大乗閣は日本の三大様式(寝殿造り、書院造り、数奇屋造り)を併せ持っている


※ 京都には東と西に個人の素晴らしい庭がある
    (東) 白砂山荘(はくささんそう):日本画家・橋本関雪(はしもとかんせつ)の庭
        「大地をキャンパスに描いた一服の絵」
        特に冬の雪景色
    (西) 大河内山荘



  ○西芳寺 庭園は下段の庭(池泉式)と上段の庭(枯山水)に分かれる

         下段の庭:苔が見事(120種の苔)
               「夕日の清水」「朝日の清水」2ヶ所から水が湧き出している
               湧き出す「朝日の清水」が描く水紋
               三尊石(釈迦三尊・阿弥陀三尊・薬師三尊を表している)は、
               金閣・銀閣の庭に強い影響
               
              ・野溝(のみぞ):庭園の中の小さな流れ
              ・影向石(ようごうせき):神様が現れた石
   
        上段の庭:桂離宮を「日本建築の世界的奇跡」と絶賛したブルーノ・タウトが、
               「水の音が聞こえる」と言った枯山水
            
              滝組:そっくりそのまま銀閣寺
              指東庵:足利義満はここで座禅を組み、金閣の庭の構想を練ったという

 ■枯山水 水を使わない

  ○龍安寺 石庭:15個の石を配した枯山水庭園。必ずどこから見ても1個見えない

         鏡容池(きょうようち):池泉回遊式の代表。池から眺める衣笠山の景色は見事

         方丈の襖絵:もとは狩野派の絵があったが散逸。
                 現在は皐月鶴翁(さつきかくおう)が北朝鮮の金剛山(世界遺産)を描く

         吾是足知の手水鉢:水戸光圀寄進。方丈裏にあるものはレプリカ。本物は茶室に。

 ■借景

  ○高山寺

  ○西本願寺 虎渓(こけい)の庭:書院にある
          御影堂の大屋根を廬山(ろざん)に見立てた借景庭園
          廬山は中国の名山。庭は「虎渓三笑(こけいさんしょう)」の故事を表す
          滝組は紀州の青石130個使用。青石は当時入手困難な石
          作庭は伏見の朝霧志摩之助と言われている

 ■浄土式

  ○平等院 州浜を持つ景色が浄土式の特徴

         平等院型石灯籠:基礎部分は創建当時のもの、竿から上は鎌倉後期以降

         小御所跡(こごしょあと):
         小御所の座敷に座って見ると、ご本尊が丸窓から見える作りになっていた。
         対岸地下1メートルに建物跡が発掘されており、小御所に座したときの視点は
         現在の地面に顔を付ける高さと同じ。

 ■寝殿造系

  ○金閣寺 上・下段の庭。庭は全て金閣から見るように作られている

  ○仁和寺宸殿

 ■書院造系

  ○銀閣寺
  ○醍醐寺三宝院
  ○二条城二の丸
  ○飛雲閣


2.庭師三百年説

  300年に1人、庭師の天才が出てくる。個人として名前と業績が残っている。

  夢窓疎石 1275~1351年 天龍寺、西芳寺
  小堀遠州 1579~1647年 金地院、孤篷庵
  小川治兵衛 1860~1933年 無鄰菴、円山公園
     ↑
  植木屋治兵衛(通称:植治 うえじ)の7代目小川治兵衛
  単に「小川治兵衛」というと、7代目を指すことが多い
  水を使った天才で、岡崎あたりに庭を多く作った


3.庭園を味わう


  ■最初からかぶりつかない
  
亭主の位置から鑑賞
  ■近寄って細部を鑑賞
  ■庭から建物を鑑賞



以上。最終回第4回は庭園の残り、神社・寺院建築、寺宝と盛りだくさんの予定