京都検定講習会レポート

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京都検定講習会 特別プログラム 
 
   ~時代祭「室町行列」が生まれるまで~



  日時:2008年3月30日
  会場:ひと・まち交流館
  講師:猪熊兼勝先生(京都橘大学教授)
      山路興造先生(民俗芸能学会代表理事)
      河上繁樹先生(関西学院大学教授)


時代祭「室町時代列」が生まれるまで


京都三大祭の時代祭。その行列に「室町時代」がなかった理由から

明治28年、第4回内国勧業博覧会が京都で開催
そのモニュメントとして平安神宮が創建され、桓武天皇が祭神とされた

京都に都があった1100年を衣裳で再現するパレードが提案された
桓武天皇が祭神のため、
南北朝時代に天皇家(後醍醐天皇)と対立した足利氏の室町時代は設定されなかった

平成7年、パリ市長から「時代祭をパリで」の依頼により、300人が出向き実施
このとき、フランスの研究者から「足利氏の列がないのはおかしい」と指摘される
              ↓
平成17年、室町時代列を増やしてほしいとの多くの要望
              ↓
平成19年、室町時代列が新設される

室町時代列は「室町幕府執政列」=将軍列 と「室町洛中風俗列」=庶民列 からなる

将軍列
 足利将軍は足利義尚像(地蔵院蔵)を、御供衆は細川澄元像(永青文庫蔵)を元に復元

庶民列
 風流(ふりゅう)踊りを復元してます
 室町後期以降、民衆が自ら囃して踊るようになった
 中踊りと側踊り(がわおどり)。踊りの中心には大きな唐傘

太鼓打ちと太鼓受けは別で、衣裳は「北野天神祭礼絵巻」を参考
大唐傘は「豊国祭礼屏風」を参考
踊りや囃しは滋賀県草津市老杉神社に残る「さんやれ」を参考

私は時代祭を見たことがないのですが、「音のない祭り」だったそうです
そこに室町庶民列の音と動きが加わりました

その後、衣裳製作に関するお話があり、室町時代当時の染織事情も紹介されました

尚、側踊りは当時、思い思いの衣裳を着ていたと思われ、
バラバラの衣裳にしたかったが、予算の都合で数種類になったと話されました

時代祭衣裳 時代祭衣裳 時代祭衣裳


当日見せていただいた 時代祭の衣裳
左から:御供衆、足利将軍、太鼓打ち、太鼓受、側踊り

側踊りは小袖を片袖にして着ています。当時このような着方が多くなったそうです
キラキラしてるのは金襴ではなく、摺泊(すりはく)という手法だそうです
摺泊:金箔を着物に貼り付ける

今回、室町時代行列を復元された先生方のお話を聞くなかで、
ひとつの衣裳、ひとつの踊りまで、ここまで時代考証がされてるのか!と正直驚きました

尚、時代祭の衣裳は「みやこめっせ」で順番に展示されてるそうです

講習会でいただいた資料

観覧席で見る際にいただけるもの?

中には全ての行列が衣裳とともに書いてありました