京都検定講習会レポート

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京都検定現地講習会 ~神護寺と西明寺の仏像~


  

  日時:2009年3月28日(土)
  解説:財団法人京都古文化保存協会 小嶋一郎氏


神護寺と西明寺の仏像

今年初めての現地講習会参加です
神護寺で集合し、見学。その後、西明寺へ移動します。
市内中心部は桜が咲いてるところも多いのに、高雄はまだ寒い(><) ダウン着て来て正解◎



高雄にある神護寺へは、
 ・京都駅からJRバス(所要約50分):毎時3往復くらい
 ・四条烏丸から市バス(所要約50分):毎時1往復くらい
  どちらも「高雄」下車、徒歩約20分

集合場所神護寺楼門に向かう
受講案内には 「バス下車徒歩30分。傾斜のある厳しい山道が続きますので、時間に余裕を…」とある



バス停横に「高雄山神護寺」と
ここを下っていく

下り口にコインロッカーが少しあった



山道を下ると川に出る。清滝川
高雄橋を渡る



橋を渡ると、今度は上り。 キツイ!

茶屋を越えて、まだまだ上る

硯石を過ぎて、
最後に控えるまたまた急な石段

目指す楼門が見えてきた

でも、足が上がらない・・・


この石段の石、
清滝の石ではないのがわかったそうです
鴨川の石説もあるとか

楼門まで 360段



もうすぐ!
石段から見上げる楼門。頑張って上ってきた参拝者を迎えてくれる。



楼門をくぐると、広い空間に出る
右手に宝蔵、和気公霊廟を見ながら進む




右手上方に鐘楼が見える。銅鐘は国宝
更に進み、右手にある石段を上ると金堂




金堂への石段が45段
上りはじめからここまで、約400段



神護寺について、お寺の方より説明があった
(神護寺にまつわる、普段あまり聞けないお話をしてくださった)

・神護寺は「高雄」と呼ばれ、西明寺の「槇尾(まきのお)」、高山寺の「栂尾(とがのお)とで三尾(さんび)」

・楼門にあった「弘法大使 遺迹本山」について
 弘法大使が住まわれた場所という意味で、3年前高野山より 「別格本山」から「遺迹(ゆいせき)本山」
 へ変更されたそうです
 遺迹本山は2ヶ寺のみ。神護寺と河内の観心寺

・和気清麻呂が河内に建てた神願寺を高雄山に移し、高雄山寺と合併。寺名を神護国祚真言寺
 (略して神護寺)と改められた

・806年に唐より帰国した空海は、809年入京。高雄山寺に居を定める。今年で入山1200年。

・旅番組でもよく見る「かわらけ投げ」。修学旅行生にも大人気のようです。この日も来てました。
 厄除けかわらけを清滝川の渓谷に向かって投げます。
 古文書によると、18世紀半ば、更に1637年にはかわらけ投げが行われていた記録があるそうです

・護王神社を神護寺の中に作ろうとしたが、木材が燃えたため不吉とし、現在の蛤御門前に建てられた

・かつて神護寺は今より更に広大で、この日の集合場所の楼門は、二天門とも呼ばれ、山門ではない
 茶屋のあった辺りもかつては多数の坊があり、山門はバス停のある国道より向こうにあったそうです

・谷崎潤一郎の「春琴抄」は、神護寺の地蔵院で書き終えた


■神護寺の文化財■
国宝(9件)

・薬師如来立像(金堂安置):平安初期。おごそかな顔、下半身の安定感が特徴。神護寺様式。

・五大虚空蔵菩薩(多宝塔安置):836年~845年に造られたとされる。檜一本造り。
 五体とも像高90センチメートル。黄色・黒色・白色・赤色・青色(緑色?)に塗られている
 今は5体横並びで配置されているが、もとは東寺講堂の五菩薩像のように、中尊を囲んで四方に配置
 
 五大虚空蔵菩薩、国宝は神護寺のみ。
 東寺の観智院で見た五大虚空蔵菩薩は鳥獣に乗って、お顔もエキゾチックだった。重要文化財。

・伝平重盛像、伝源頼朝像、伝藤原光能像:ふだんは京都国立博物館に
・両界曼荼羅(高雄曼荼羅)
・釈迦如来像(赤釈迦):平安時代。修理完了し、5/1~5/5公開される
・山水屏風:鎌倉時代
・灌頂暦名:弘法大使筆。古文書
・文覚四十五箇條起請文:古文書
・銅鐘:銘藤原敏行筆

他、重要文化財多数




五大虚空蔵菩薩が安置されている多宝塔。非公開
この日は特別に見せていただいた




大師堂。弘法大師空海の住居跡
「納涼房」とも呼ばれる
山内最古の建物


神護寺の見学を終え、歩いて西明寺へ移動します。約30分。


槇尾山 西明寺



神護寺から山を下り、高雄橋で一度清滝川を渡る
そこから川沿いに歩いて、指月橋で再度清滝川を渡る




石段を少し歩くと、薬医門
大きくないが、品格を感じる門




本堂
元禄13年、五代将軍徳川綱吉の生母桂昌院の寄進により再建



聖天宮
大根と清浄歓喜団の説明は聞き取れませんでした
出たお金が倍になって返ってくる「倍返りお守り」があった


樹齢700年

自性上人手植えの槙(高野槙)
(鎌倉時代)

日本最古の槙の木の一本


■西明寺について、ご住職より

 春の桜、つつじ、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色
 智泉(空海の甥)が神護寺の別院として開創
 その後、戦火・火災等から自性上人が復興し、神護寺から独立
 元禄年間に桂昌院が本堂、山門を復興
 現在は真言宗大覚寺派

■西明寺の文化財

 ・釈迦如来立像(重文):本尊。鎌倉時代、運慶作
  清凉寺式釈迦如来 →詳しくはこちら

 ・千手観音立像(重文):平安時代、作者不明。四十二手。
 ・愛染明王像:鎌倉時代。自性上人の念持本尊


高雄観光ホテルの従業員の方に尋ねたところ、この頃はまだ寒く、お客さんは少ない時期
GWが過ぎて、新緑~紅葉の頃がやはり一番賑わうそうです
ハイカーの方も多いとか