「古都京都の文化財」 ユネスコ登録 15周年記念特別講座
世界遺産に知る京都の魅力・活力・文化力 第4回
-ビジュアルで再発見。京都の世界遺産-
日時:2009年8月8日
会場:京都商工会議所 講堂
講師:堤 勇二先生 京都学院大学 非常勤講師
世界遺産の特別講座もいよいよ最終回
今回は「建築のみどころ」と、「世界遺産」に関する基礎知識
当初のテーマは上のようになっていたが、前回の続き、建築中心に話は進みます
まずは、恒例、Q&Aから
◆開山・開祖・開基の違い
開山=山号を持っているお寺の初代住職
開祖=山号を持っていないお寺(塔頭はほとんど持っていない)の初代住職
開基=スポンサー。お寺を造るのにお金を出した人
◆祭神と神像の違い
祭神=その神社に祭られている神様
神像=祭神じゃなくても、神様や神様に仕える人の像
・松尾大社の神像…平安時代のもので、わが国最古
・八坂神社西楼門…随身像のこと?(要確認です)
・大将軍八神社:79体の神像。神像の宝庫
◆明神と権現
明神=生きている間は人間、死して神になる(豊臣秀吉)
権現=生きている間も神(仮に人の形をしてる)(徳川家康)
◆神社と神宮
神社=神様を祭る
神宮=天皇を祀る
1.建築のみどころ
○建物は屋根で決まる
【屋根の葺き方】
・瓦葺き
行基葺き:丸瓦を上にいくにつれ、積み重ねる葺き方。大分・富貴寺の阿弥陀堂(国宝)
本瓦葺き:積み重ねない葺き方。上側の丸瓦が出っ張らない
桟瓦葺き:平瓦のみで葺く
・杮葺き:こけら。曲線は桧皮(ひわだ)より出しやすく、きれい
・桧皮葺き:ひわだ。1枚7.5cm×3cmの桧皮を、1.2cmづつずらして葺く
御所に模型あり
・茅葺き:かや。空洞が多いものは安価、つまってるものが高価
・銅板葺き(瓦棒入り):延暦寺
ちなみに・・・神社は植物性で葺くが、下鴨神社の宝物庫は瓦葺き
【屋根の形】
・切妻(きりづま):山形の屋根。屋根面は2方向。
屋根がハの字になっている方が「妻(つま)」、屋根の斜面がある方を「平(ひら)」
妻から家屋へ入るものを「妻入り」、平から入るものを「平入り」
・寄棟(よせむね):四方向に屋根面。
・入母屋(いりもや):文章での説明は難しい・・・
入母屋の成り立ちに関して、2つの説がある
1)切妻にひさしを付け、ひさしが伸びていった(御所の紫宸殿で見ることが出来る)
2)寄棟の屋根に煙突を付けて、それが大きくなっていった
・宝形(ほうぎょう)・四注(しちゅう):ひとつの頂点から、四方に屋根が流れているもの
例)東寺の宝蔵
屋根の色が一部違い、創建当時のものの可能性がある。
屋根の色の違いは、しばしば時代の違いを表している
【屋根の飾り】
・木鼻(きばな):向拝※の2本の縦柱を横に貫いてる柱の、左右の端に付けたれた装飾
象が彫られている場合「象鼻」、獅子の場合「獅子鼻」とも
西本願寺の唐門(国宝)の木鼻は、あうんの形
西本願寺の唐門は通称日暮門。この名は、伏見城の遺構といわれるものに多く、彫刻が素晴らしい
※向拝(こうはい、むこうはい):建物の外から中の本尊を拝むことができるように屋根のついた所
・鬼瓦(板なら、鬼板)
鬼じゃなくてもいいが、鬼は魔除け
上賀茂神社の「双葉葵」→全ての建物についてるが、一つとして同じものはない
神泉苑の「なまず瓦」:神泉苑には大きな池があり、昔は地震の震源と言われたりもしたことから
現二条城の堀は神泉苑の池の跡。
・懸魚(げぎょ):妻飾りのひとつ
蕪懸魚(かぶら げぎょ):真ん中にひとつ。二条城二の丸御殿
梅鉢懸魚:八坂神社?
猪の目懸魚:ハート型で左右にふたつの穴
三花懸魚(みつばな げぎょ):蕪が三つくっついた形。大徳寺勅使門
魚尾懸魚:魚のしっぽの形。東寺蓮華門(国宝)
・蟇股(かえるまた)→醍醐寺のレポートをどうぞ
○神社は鳥居から
【鳥居】
・神明(しんめい)鳥居
・明神(みょうじん)鳥居
鳥居=「神様が鳥の形をしておりてくられたときにの止まり木」説ほか
京都三珍鳥居 木嶋神社蚕の社、北野天満宮伴氏社、御所厳島神社
【屋根】
・流造:上賀茂・下鴨神社
・両流造:松尾大社
【社殿】
・春日造 比翼春日造:平野神社
・日吉造:日吉大社
・八幡造:石清水八幡宮
・権現造:北野天満宮
・祇園造:八坂神社
八坂神社 上空から見ると瓦葺きの屋根が多く見られる=むかしお寺だったから
2.創建時代別世界遺産
平安時代初期 賀茂御祖神社
賀茂別雷神社
教王護国寺
延暦寺
清水寺
平安時代前期 醍醐寺
仁和寺
平安時代末期 平等院
宇治上神社
鎌倉時代 高山寺
室町時代 天龍寺
西芳寺
鹿苑寺
慈照寺
龍安寺
桃山時代 醍醐三宝院
二条城二の丸御殿
本願寺
⇒世界遺産に関する基礎知識は、こちらでアップしました
4回シリーズの特別講座も今回で終了。
講師の先生はどんな疑問も的確に答えてくださり、講義の内容も知りたかったことばかり。
是非また講師をしていただきたいです!
|